1＋1の行方　two fragments

Tと私。


話せば話す程に


過去の境遇や家庭環境や人との接し方。


色んな事柄が共通していることに


お互い驚くことばかり。


Tも私も少しだけ変わった家庭に育った。


そして、それは誰に話しても


決して理解はしてもらえなかった。


Tが言う。


『やっと理解してくれる人に出会えた…』


『人生の半分以上の時間が掛かったけど、やっと出会えた』


私も同じことを思う。


理解されないであろうことが分かっていたから


友人にも話すこともなく


私は いつも何処かで心を閉ざしてきた。


私の過去は、誰にも話してはいけない。


そう信じ込んで、口をつぐんできた。


だけど生まれて初めて


私は私の育った環境を言葉にできた。


ひとつひとつ丁寧に…


こんな私を理解してくれる人なんて


絶対に存在しないと思っていた。


だけど…


たった一人かもしれないけれど


同じ想いを胸に抱えて生きてきた


Tに私は出会えた。


理解し合えること。


お互いの傷の痛みを理解できること。


それは私にとったら


どんなことより有難いこと…


ありがとう、T。


生まれて来てくれて


そして今日まで生きて来てくれて、ありがとう。