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1+1の行方 two fragments

たった ひとつの欠片を探して…

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裏盆

アイツは何度もアタシに救いを求めてた。


なのにアタシは…


仕事の忙しさや日常の快楽や


そんなもんに振り回されていて


アイツのサインに気付いてやれなかった。


ある晩。


本当に深夜に帰宅した。


その頃は深夜2時や3時の帰宅なんて当然だった。


仕事がトラブってイライラしてた。


留守番電話にメッセージが残ってた。


赤いランプがチカチカと目障りだった。


アタシは冷蔵庫からコロナを取り出しながら


そのメッセージを再生した。


『雫、ありがとう』


そう一言のメッセージ。


何日も寝不足が続いていたアタシは


何の危機感も感じることなく眠りに就いた。


翌々日だったと思う。


会社に電話が入った。


泣き声で、叫ぶように


『○○が死んだ!』


って。


職場への電話だったから


アタシは極めて冷静に電話を切った。


でも手が震えた。


訳が分からなかった。


葬儀の会場へ向かいながらも


自分が何処へ向かおうとしているのか


それさえ分からない程、混乱してた。


会場に着いて…


綺麗なヤツの顔を見た瞬間。


彼女の名前を叫んだ。


何度も何度も形振り構わず叫んだ。


なのに可愛らしく澄んだ声は返って来なかった。


最後の最後に電話を掛けたのは、アタシだった。


アイツは、あの晩の伝言の後。


勝手に逝きやがった。


いや…違う。


勝手に逝かせたのは、アタシだ。


盆が来る度に思い出す。


そして秘かにアイツに線香を焚く。


おかえり…


そう心の中で呟きながら。






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Author:雫
たった ひとつの
失くした欠片を探して…


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