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1+1の行方 two fragments

たった ひとつの欠片を探して…

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ライブデート 6.

シャワーを浴び直し

身支度を整えた私たちは

ホテルから程近いカフェに。

真夏の日差しがビルの窓に反射し

熱を孕んだ風を運んでくる。

帰りの電車の時間まで

私たちはカフェで穏やかな時を過ごした。





だけど、どうしても訊いておきたいことがあった。

疑問を抱いたまま帰るのはイヤだった。

私は しどろもどろに口を開き

何度も言葉を選びながら訊ねた。

『ねぇ、子供はイラナイって言ってたよね?』

『なのに、どうして先月も今回も中に出したの?』

愚問だって分かってた。

Tも私も子供は望まない。

それは何度も何度も話してきたこと。

『覚悟をしてるからだよ』

Tの言葉に私は首を捻ってしまった。

『年齢的にも子供は出来にくいだろうね』

『だけど それでも僕の子供が雫に宿ったら必ず育てる』

『僕らが上手に子育てが出来るかは分からない』

『でも僕と雫の子供がやって来るなら、育てたい』

『そう覚悟を決めているからだよ』

私の目を真っ直ぐに見て答えるTに

私は、それ以上は何も訊けなかった。

黙って頷き

『ありがとう』

そう言うのが精一杯だった。

可能性は限りなくゼロに近い。

だけど100%の避妊も存在はしない。

だから訊いておきたかったこと。

改めてTの強さを思い知らされた。





『僕は今のPJを最後に今の仕事を引退するつもりだよ』

『新しい資格を取ろうと思ってる』

『その仕事に就けたら、細々とでも雫と暮らしていけるから』

今度はTが私に切り出した。

私の傍で人生の最後を過ごすと

以前から繰り返し言っていたT。

本気だったんだと聞きながら思った。

たとえ、それが現実に叶わなくても

私は このTの言葉で十分だと思う。





同じ心の痛みを味わいながら

私たちは遠い空の下で生きてきた。

その痛みを分かり合える人が

たった一人でも存在してくれている。

私は、それだけでも十分に幸せだ。

この出会いは私の病気が連れて来てくれた。

先の見えない闘病生活。

それでも今の私はTの存在があれば

何とかやっていける気がする。

また横浜で新しい想いを抱くことが出来た。

この街に感謝しよう。

そして私たちは待ち合わせた駅で其々の家路に向かう。

『またね』

ではなく、

『行ってらっしゃい。気を付けてね』

そう挨拶をして…


P1000015.jpg






コメント

MASAさんへ

コメント、ありがとうございます^^

第二章の幕開けと言うより
日々、共に闘って行くって感じでしょうか(苦笑)
ただ淡々と一日一日を大切に(*^^)v
でもTの想いの強さを改めて知ることが出来て
今は心から感謝しています。

ん。

男はいつも遠くを見ているよ~^^
Tさんの言葉の強さには、内に秘めたものがあると思ってた。
やっと打ち明けたんだね。

Tさんの夢は、雫さんと共に歩む事なんだね…
何故か俺と似てると思ったら、そっか、夢まで同じなんだね^^;

絶対叶えて欲しい夢だよね!ううん、絶対に叶える筈だよ~!
だって、男は夢を追いかける生き物だからね。
そして夢こそ男の生き甲斐でもある…

二人の暮らしが、Tさんの生き甲斐なら、
これ程強いものは無いと思うよ。^^

ん…俺はTさんを、応援し続ける!
ずっと見続けて行くからね!^^
そう伝えてくれるかな?^^v




ロザリーさんへ

コメント、ありがとうございます^^

『雫と生きていくのが、僕の生き甲斐』
それは、いつもTが言う言葉です(汗)
でもね…現実には叶わなくてもいいって、
私は思ってるんです。
その想いだけで十分過ぎるから。

でもロザリーさんからの伝言。
ちゃんと伝えておきますね(^_-)-☆
ありがとう♪
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たった ひとつの
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