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1+1の行方 two fragments

たった ひとつの欠片を探して…

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少年の涙

少し前に煙草を吸って


私に横面を張り倒された、少年。


今年の春に高校生になった。


身長もグングン伸びて


155㎝ない私を見下げるようになった。


彼が夕方、泣くのを堪える声で


『迎えに来てほしい』


そう電話を掛けて来た。


理由は聞かなかった。


『何処にいる?』


そう訊ねると彼は


最寄駅ではなく一つ手前の駅で降りていた。


車のカギを手に私は迎えに向かった。


助手席に滑り込むように乗り込んだ彼は


声を殺しながら、泣き始めた。


『気が済むまで泣け』


『男もな、涙腺の掃除が必要ってことだ』


そう言ったまま放っておいた。


家に送ろうかと尋ねると


『今夜は雫のとこに泊りたい』


そう返事が戻ってきた。


そして夕食には、昔 私が作ってあげた


パスタが食べたいと言った。


家に戻り、お風呂に入らせ


その間に夕食の用意をした。


私がビールを空け、飲み始めると


『俺も飲みたい…』


そう言ったから


仕方なくグラスに少し注いでやった。


すぐに真っ赤な顔になり


『どうして理由聞かないの?』


ガキの顔になって聞くから


『聞いてほしいなら、家に帰ってるだろ?』


『言いたくなったら、言えばいい』


『お前は大人になっていく途中なんだ』


『たくさん悩んで、たくさん考えろ』


『でも答えが見付からなかったら、話を聞くよ』


私は、そうにしか答えなかった。







彼の母親には、すでに連絡をしておいたから


『お願いね…』


とだけ言われた。


『明日の朝は、お弁当持たせて駅まで送るから』


その頃には、彼は酔って居眠りをしていた。







なんて純粋な顔なんだろう…


そう私は思いながら、


彼の身体にタオルケットを掛けた。






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Author:雫
たった ひとつの
失くした欠片を探して…


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