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遠い想い出
ずっと父が嫌いだった。
中学生になる頃から。
それまでは、大の お父さん子だったのに…
嫌いになった切欠も思い出せない。
でもイヤでイヤで仕方がなかった。
父が年老いていくうちに
イヤだという感情も薄れたけど
それでも好きになることは出来なかった。
父からの電話が煩わしかった。
父に会いに行くのも面倒くさかった。
とにかく関わり合いたくなかった。
どうして、あんなに嫌いだったんだろう。
今では答えさえ見付けられない。
でも最期が近付くにつれ
父を可愛いと愛しいと思えるようになった。
『お父さん、ありがとう』
そんな言葉も自然と口を吐いた。
『お父さん、もうすぐ私の誕生日だよ』
『いつも通り、お祝いしてよ』
『お父さんの快気祝いと一緒に お祝いしようよ』
本当は分かってた。
父が二度と家に帰れないことを…
でも私は、毎日 父に言い続けた。
そして父は、私の誕生日の3日後に
そっと静かに息を引き取って逝った。
私は愛されていたんだって
そう初めて思えた。
何時も何時も父の後を追い掛けていた、私。
出勤する父の後を追い、泣いていた私。
何処へ行くのも
何をするのも
いつだって幼い私は父とだった。
思い出せばキリがない。
遥か遥か、遠い想い出。