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1+1の行方 two fragments

たった ひとつの欠片を探して…

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愛別離苦

昨日の午後、一本の電話が入った。


電話の向こうからは涙声。


『雫さん、○○が死んだ…』


声の主は後輩の男性だった。


そして亡くなったのは、彼の奥さん。


死因は自殺だった。


幼い子供と彼を残して投身自殺したという。


自殺の原因は…


答えるべき言葉を探した。


でも私の口から出た言葉は


『わかった、すぐに行くから』


それ以外に言葉が見付からなかった。


彼の自宅に着き、彼に声を掛けた。


その途端、彼は私に子供のように しがみつき


雄叫びのような泣き声を上げた。


幼い子供たちは、彼の姉たちに預けられていて


そこには彼と彼の友人たちだけがいた。


みんなが私の顔を見ると泣き始めた。


彼らは私の若かりし頃の飲み仲間。


年上の私を『雫姉』と呼び、慕ってくれていた。


今では、もう立派な大人だ。


なのに、この想像もしなかった状況の中、


誰しもが私に何か言ってくれ…と訴えているようだった。


大人になった彼らの中の私は


やっぱり『雫姉』のままだったんだ。


私は混乱する頭に言い聞かせた。


冷静になれ。


落ち着け。


此処で私が取り乱しちゃいけない。


何度も何度も頭の中で反芻した。


そして私は一言


『泣け。泣きたいだけ泣け』


『私の前では格好付けなくていいから、泣け』


そう言った。


その瞬間、大の大人の男性たちが声を上げ泣き始めた。


膝から崩れ落ちるようにして…


私は声を殺して泣いた。


ただ大粒の涙だけが零れ続けた。






愛別離苦。


人間が生まれてきた以上


決して逃れることの出来ない苦しみ。


人間は いつか必ず死を迎える。


愛しい者たちを残して…


そして愛しい人を見送らなければならない


その日も必ず訪れる。


でも早過ぎるだろうよ。


まだ30代半ばじゃないか。


冷たい雨が降る今日の夕方。


通夜に参列して来なければ…






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Author:雫
たった ひとつの
失くした欠片を探して…


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