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1+1の行方 two fragments

たった ひとつの欠片を探して…

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生きてこそ

冷たい雨の降る中、


気の重い通夜に参列し


清めの杯と称した


僅かなアルコールと共に後輩たちと夕食。


今まで彼らと飲む時は


いつもバカ騒ぎをし、浴びるように飲んだ。


朝まで飽きもせず笑い


話し続け、飲み続けていた。


言葉数の少ない静かな食事。


こんな時間を共有するとは思っていなかった。


思い切って私は口を開いた。


『お前ら、死ぬなよ』


『私より先に死んだら、許さないからな』


『その時は葬式にも通夜にも行かないからな』


『私も彼女と同じ病気と闘ってる』


言い終わらないうちに涙が止まらなくなった。


黙って聞いていてくれてた彼らも


堪え切れなくなったみたいだった。


一人が涙ながらに私に言った。


『雫さんは死なないで下さい』


『普段は会えなくても、俺らには支えなんです』


『いつまでもガキだって怒られても、いいです』


『でも生きてて下さい』


私は無言のまま頷いた。






そうなんだ。


生きてこそ、なんぼの人生なんだ。


生きてるから苦しむこともある。


生きてるからこそ絶望に打ちひしがれることもある。


それは男も女も同じなんだ。


でも生きてこそ、生きてこそ


人の温もりを感じたり


誰かを愛したり


誰かに必要とされたり


誰かに求められたり


様々な充足感を得られるんだ。


だから私は死んだりしない。


自ら死を選ぶようなことはしない。


生きて、生きて…


本当に くたばる時が来るまで生き抜いて


そして最期の瞬間に親指を立てて


『最高だった』


そう笑って静かに逝こう。


若過ぎる、早過ぎる死が私に


生きることの大切さを教えてくれた。





彼女に献杯……






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Author:雫
たった ひとつの
失くした欠片を探して…


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