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1+1の行方 two fragments

たった ひとつの欠片を探して…

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'10.6.14(Mon) 1.

ボンヤリと目が醒めた朝。

隣ではTが寝息を立てている。

そっと起き出そうとすると

眠っていた筈のTに腕を掴まれ

ベットへ連れ戻された。

昨夜の続き…

私の中では、そんなことを考えていた。

Tは私を腕の中に包んだまま

私の額や頬にキスを繰り返す。

『おはよ』

私が声に出して言うと

次は口唇を塞がれる。

そして、また昨夜と同じように

触れるか触れないかのタッチで

私の腰骨の回りや腕の内側、

脇腹や脇の下を撫で回す。

昨夜の余韻が残ったままの私の身体は

それだけで十分に感じていた。

窓の外は曇り空で少し肌寒い部屋の中なのに

私の肌には汗が滲み始めていた。

呼吸が吐息に変わって行くのを

Tは楽しむように撫で続けている。

時々、ビクンと身体が弾ける。

もどかしさが切なさに変わり

『お願い…』

私はTに ねだる。

そんな私の言葉を無視して

『さ、シャワーを浴びておいで』

Tが笑いながら言うから

私は情けない気分になってスネる。

そして仕方なくシャワールームへ向かった。




シャワーを浴び、バスタブに身を委ねていると

Tが後からシャワールームへ入ってきた。

スネてる私は口を聞かない。

バスローブを纏い、さっさと退散。

そして、そのままの姿で煙草に火を点け

霧で見えない海を窓際から探した。

Tがシャワーを終えて

私を後ろから抱き締めてきても

私の機嫌は直ったりしない。

Tの腕を振り払い、出掛ける支度を始めた。

今日は水族館へ行く約束だったから。

そんな私をTはニコニコしながら見詰め

『雫が疲れないように工夫してるんだよ』

そんな言葉を口にする。




ホテルを出て駅へ向かいながら

肌寒さに負けて私はTの腕に掴まる。

そして気付く。

あ、私 腹立ててるんだった

慌てて手を放し

『仲直りじゃないからね』

そう一言。

『え?ケンカしてるの?僕たち』

Tは相変わらずニコニコしてる。

『さ、寒いんだから僕に掴まってなさい』

なんて余裕。

結局、寒さには勝てずに

私はTの左腕に ぶら下がった。

でも、もう一度

『寒いからであって、仲直りじゃないからね

そんなバカップル丸出しの会話を続けながら

私たちは今日の目的地へと向かった。






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Author:雫
たった ひとつの
失くした欠片を探して…


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