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1+1の行方 two fragments

たった ひとつの欠片を探して…

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'10.6.15(Tue) 2.

『さぁ、今日は どうしようか』

バスローブのまま窓際で外を眺め

Tが私の濡れた髪を撫でながら訊く。

今日は、もう帰らなければいけない。

『3日なんてアッと言う間だね』

二人が同じ切なさを胸に閉じ込めた瞬間。




チェックアウトを済ませ

美術館にでも行こうと歩き出す。

なのに生憎、展示休止中の看板。

仕方なく美術館の窓枠に腰掛け

他愛もない会話を始めた私たち。

どれくらいそうしていたのだろう。

梅雨入りしたとは思えない青空が眩しい。

目の前には噴水があって

まるで一枚の絵画のような景色だった。




美術館から少し歩く。

歩道橋の手摺りには鳩のカップル。

仲睦まじく、グルーミングをしたり

キスをしたりし合っている。

そんな様子を私たちは見詰める。

こんな普段なら見過ごしてしまう景色や

どうでもいいようなことに心が悦ぶ。

何もかもTが傍にいるから…




オープンカフェで昼ビール。

平日の昼間から私たちはビールで乾杯。

隣の席ではビジネスマンが打ち合わせをしている。

私たちは、どんな風に見えたのかな(笑)

数時間をカフェで過ごし

段々、帰りの時間が近付いて来るのを忘れようと

Tと私は観覧車に乗ることにした。

窓の外では来た日と同じように

波がキラキラ輝いていて

『きっと、また帰ってくるんだよ』

そう言ってくれている気がした。

私はTの手を握り締めて黙っていたけど

繋いだ手が離れないように…

心の中で願い続けていた。




待ち合わせた改札までTが送ってくれる。

僅かな残りの時間。

私たちは言葉ではなく

お互いの目の中にある想いを

確かめ合っていたような気がする。

そして私が荷物を持ち、改札へ向かおうとした時。

『雫を愛してる。早く傍に行くから』

Tは私を抱き締めて言ってくれた。

何か言葉にすると泣き出しそうだった私は

黙って笑顔で小さく頷いた。




昨日、見た水族館の並んで咲いた蓮の花。

その蓮の花のように、いつも隣に…

まだまだ始まったばかりのTと私。

でも夢は大切にしたい。

その日が来るのかなんて分からない。

だけど今は信じていよう。






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Author:雫
たった ひとつの
失くした欠片を探して…


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